高津加log

140字以上のメモ📝

9/2 ハルカトミユキ +5th Anniversary SPECIAL

2017/9/2(Sat.)
+5th Anniversary SPECIAL @日比谷野外大音楽堂

 

ハルカトミユキを聴き始めたのはここ数カ月のこと。最新アルバム「溜息の断面図」からで、聴いたらいてもたってもいられずさくっとチケットをとっていた。

天候が心配されていたが、当日の昼前には雨もやみ、久し振りの野音は快適だった。秋迫る季節の野音が大好きだ。

虫の鳴き声が聞こえる空間で、最高のライブが聴けた。

 

初めは明るめなトーンの曲が続き、「インスタントラブ」でハルカさんが手でフリをつけていたことにちょっと驚いたけど、周りにも真似をする人が居なくて純粋な気持ちで浸って聴けた(ファンが勝手にフリをまねることが半強制っぽい現場あるじゃないですか、あれ苦手)。全体的に夏の終わりを感じさせるようなセットリストだったけれど、特に「Sunny, Cloudy」の辺りが最後の夏休みのような楽しさと焦燥感を感じた。

ハルカさんとミユキさん、2人だけでステージに立って歌った曲の中に「絶望ごっこ」が入っていた。3.11の後の心境で作られた曲だと知って、歌の言葉の凄味が増した。当時から東京に暮らす東北出身者として、思わない思いではないからだ。

2人だけのステージに、徐々にサポートメンバーが入って行く演出が良かった。彼女たちが初めて作った曲だという「夏のうた」の後、「宝物」から、最新曲の「手紙」に移って行く。

「手紙」は映画の主題歌になるとのこと。タイアップがつきそうなのにつけにくそうではあるなと思っていたので、映画というのに納得した。ステージの真ん中に椅子とランプシェードの明かりを置いて、座って手紙を読むように歌うハルカさんの歌い方が印象的で、歌詞のメッセージ性は相変わらず強いのだけど、本当に短編小説の中に出てくる手紙を読んでる気持ちになった。

「手紙」の後、「夜明けの月」が演奏される。バックのスクリーンには窓が3つ、夜空に月が欠けながら移動していく絵を見ながら、物凄く泣きたくなった(手紙からヤバかったんだけど)。

その後のMCで、ハルカさんが「5年間、生きててくれてありがとう」という事を言って、あの時の声を思い出すともう一回涙が出そうになる。私はつい最近彼女たちをちゃんと知ったけれど、それでもその言葉が沁みた。特にこの5年間は漠然とした不安を抱えながら色々納得して生きて来てるつもりだったけれど、自分の存在すら知らないような人に「ありがとう」と言われるのは、純粋に嬉しいものだ。

 

後半はぐっと攻撃的になった。「わらべうた」は"かごめ かごめ"のアカペラから、思わずゾッとするようなイントロで始まった。ハルカトミユキの感情の爆発、攻撃性の発露、胸からごそっと心臓をとって見せつけられたような感覚がたまんなかった。

「近眼のゾンビ」は拡声器で歌うし、サイレンを拡声器で大きくして鳴り響かせる。この手の批判的な内容の歌詞が気持ちいいのだけど、歌詞を知らないと拡声器のつぶれた声は聞き取れない。それでいいという演出に高揚した。

「わらべうた」「近眼のゾンビ」、の後に間髪入れず「終わりの始まり」が始まる。スクリーンにはモノクロで映る今のハルカ、そこにPVのように文字が重なる。シンプルにかっこいい。怖くて鬼気迫っててそこがいい。

その後、ライブではおなじみ(らしい)曲で徐々に夏の終わりがフィナーレに向かう。アンコール前の映像演出が良かった。最後の最後の方でアンコールで「種を蒔く人」が聴けたのが嬉しかった。

そしたら種と花、でアコースティックライブとバンド編成ライブのツアーをそれぞれ行うことが発表された。どこかで行ってみたいと思う。

 

彼女たちが主題歌を担当している映画「ゆらり」の映像付きティザー:

youtu.be

 

ライブの後に友人と「歌う理由について」の話をした。色んな理由で歌を作って歌う人達がいるけど、歌いたいから、というプリミティブな理由のものが、聴いてて一番好きだと思った。

ハルカトミユキは、何か胸に鬱屈したものを抱えてたり、一歩間違えたら爆発しちゃいそうな人が聴くとスッとする。そういうタイミングで彼女たちの曲に出会えてよかった。